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小児アレルギーコラム “食物アレルギーってなぁに?”

小児の食物アレルギーって何ですか?それは治るのでしょうか?

  • 体を病原体や異物から守る仕組みを「免疫」といいます。体にとって無害である食べ物に免疫が過剰に働いて有害な症状を起こすことを「アレルギー」といいます。
  • 食物アレルギーとは、原因となる特定の食べ物によって特定の人に免疫過剰が働き、有害な症状が引き起こされる病気です。
  • 即時型アレルギーの原因食物としては、鶏卵、牛乳、小麦が全体の7割を占めます。
  • 食物アレルギーの予後として、鶏卵・牛乳・小麦によるアレルギーは6歳ぐらいまでに自然に治っていくことが期待される一方で、そばや甲殻類など治りにくいものもあります。
  • (参照:食物アレルギーハンドブック2018)


ちばなクリニック アレルギー外来担当 佐藤です。
食物アレルギーは、患者さん毎に食べ物の種類・重症度・経過が大きく異なり、『100人いると100通り』の疾患です。

アレルギー診療は、ここ数十年で大きく変わっています。以前は、アレルギー症状がある食物は原則除去を徹底されていました。最近は、一部の食物アレルギーで治っていく(耐性獲得する)ことが分かってきたため、その都度食べられる範囲を見極めて不要な除去食を避けることが重要となっています。

なぜそのような対応に変わってきたかというと、食べられる範囲の摂取を続けるほうが、食物アレルギーの治りがスムーズになるのではないかという研究が始まっていること、また除去を長く続けた一部の患者さんの中で、食べることが怖くなってしまい、食物アレルギーが治った後も食物の摂取が進まず、日常生活に制限が生じることがあるからです。

食物アレルギーが治ったかどうかの判断は、血液検査だけでは行えません。実際に食べてみての判断が必要となりますが、それにはアレルギー症状発症のリスクが伴います。そのため、緊急時の体制のとれた病院内で摂取をトライするという『食物負荷試験』が重要となります。

近年、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係も指摘されています。生後早期からの十分な皮膚ケアがその後のアレルギーの進展を予防するのでは…という研究も行われています。

離乳食の開始を遅らせることなく、リスクがある食物のみ最小限の除去を行い、丁寧な皮膚ケアを継続すること、誤食などによる症状発症時の緊急時の対応を整備すること、食物負荷試験で順次食べられる範囲を確認しながら除去食の解除をすすめることが、アレルギー診療の基本となっています。


参照
食物アレルギーハンドブック2018.日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会
  • ※このコラムは、2020年時点のアレルギー診療に基づく内容です。
  • ※アレルギーは個人差の大きい疾患です。個々のお子様の症状や対応につきましては主治医とご相談ください。