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小児アレルギーコラム ”アナフィラキシーってなぁに?”

下記のうち「アナフィラキシー」にあたるものはどれでしょうか?

食事の後に、

  • (1) 体中に蕁麻疹がでる。
  • (2) 蕁麻疹がでて、咳き込んでいて苦しそう。
  • (3) 咳でゼイゼイして、腹痛もあり何回も吐いている。
  • (4) 蕁麻疹があり、ぐったりして意識がない。

正解は・・(2)〜(4)の状況がアナフィラキシーです。

ちばなクリニック アレルギー外来担当の佐藤です。
食物アレルギーの症状の一つに、アナフィラキシーという反応があります。
上記の質問について、アナフィラキシーは(4)の「ぐったりして意識がない状態のみ」と思われている方も多いですが、実は(2)~(3)もアナフィラキシーに該当します。このようにアナフィラキシーは多様な状態を示します。
「アナフィラキシーガイドライン」では、アナフィラキシーは”アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応”と定義されます。アナフィラキシーは食物のほか、医薬品やハチ刺傷で発症する場合もあり、亡くなることもある疾患です。食物では鶏卵、乳製品、小麦、そば、ピーナツなどが多くあげられます。摂取後、数分以内で発症することが多いですが、30分以上経ってから発症する場合もあります。カゼなどの体調不良や食後の運動などで症状が増強することもあります。
一旦症状が軽減した後も、数時間後に再度出現する場合(二相性反応)もあります。
アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う症状を『アナフィラキシーショック』といいます。選択肢(4)の症状はショックに該当します。食物アレルギーでは、食後は蕁麻疹のみ(1)であっても、数分以内に(2)~(4)のショック状態へと急速に悪化することもあります。そのため患者さんからは目を離さず、速やかに緊急時対応を行う必要があります。トイレ等に歩いて移動することでショックになり倒れこんでしまう場合もあるので、歩かさずに安静を保つことも大切です。一人でアナフィラキシーの対応することは難しいため、助けをよぶ(人をあつめる、救急要請をする)ことも重要です。
アレルギー・アナフィラキシー症状を発症(目撃)した場合は、下記の対応が大切です。
1.目を離さない
2.助けをよぶ(人をあつめる、救急要請をする)
3.安静を保つ(吐き気があるときは横向きに、意識がない時は足を高めに)
4.速やかに緊急時薬を使用する。(エピペン®など)
(呼吸停止やショック状態の場合は、心肺蘇生やAEDも考慮する)
アナフィラキシーのリスクのある患者さんの中には、自己注射薬である『エピペン®(アドレナリン筋肉注射薬)』を携帯している方が多くいます。(小さいお子さんの場合はご家族など周囲の方が注射をします。)
アナフィラキシー発症時はエピペン®を迅速に使用することが推奨されています。効果はすぐに現れますが、持続時間が短いので、救急車を要請し医療機関を受診することが必要です。

一般向けエピペンの適用(参照:日本小児アレルギー学会ホームページ)

エピペンが処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合、下記の症状が一つでもあれば使用すべきである。

消化器の症状
・繰り返し吐き続ける  ・持続する強い(我慢できない)お腹の痛み
呼吸器の症状
・喉や胸が締め付けられる  ・声がかすれる   ・犬が吠えるような咳
・持続する強い咳き込み   ・ゼーゼーする呼吸 ・息がしにくい
全身の症状
・唇や爪が青白い       ・脈を触れにくい/不規則
・意識がもうろうとしている  ・ぐったりしている  ・尿や便を漏らす

アナフィラキシーショックに対応するために

食物アレルギーでアナフィラキシーを発症した後は原因食物の除去が必要となりますが、小児では友達や兄弟のお菓子を誤食したり、行事やイベント・旅行などいつもと違った環境で見慣れない含有食品をみつけて誤食しアレルギー症状が起こすことがあります。小さなお子さんの場合は症状を自分で説明できないため、ご家族が気づいた時にはぐったりしている…などのリスクもあります。アレルギー対応については、普段から定期的にご家庭内での話し合いや、園や学校との情報共有を行い、緊急時対応の実践練習(ロールプレイを含む)を繰り返すことが大切です。

当アレルギー外来では、学校や保育所職員対象のアレルギー研修会において、エピペン®の練習キットを用いた自己注射の講習や、アナフィラキシーの緊急時対応のロールプレイを積極的に行っています。 
【アレルギー外来はこちらからご覧ください】
*アレルギーコラムの更新情報は、ちばなクリニックFacebookにも掲載しています。
(参考文献)日本アレルギー学会.アナフィラキシーガイドライン / 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.食物アレルギー診療ガイドライン2016[2018年改定版]