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小児アレルギーコラム 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言をうけて

沖縄市のちばなクリニック アレルギー外来担当の佐藤です。
2020年4月7日に、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部より「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が発令されました。これに伴い、アレルギーで通院中のお子さんへの注意点をまとめましたのでご覧ください。

アレルギー疾患の定期治療薬について

ウィルスの感染を恐れて、病院の定期受診をためらわれる方も多いと思います。
定期治療薬が切れると、気管支喘息の症状やアトピー性皮膚炎が悪化する可能性がありますので、通常の治療(内服、軟膏、吸入など)は必ず継続するようにしてください。
医療機関によっては、定期通院の患者さんを対象に電話対応やFAXでの処方などの緊急時対応を行っている施設もあります。かかりつけ医に連絡し対応を相談してみるのも良いと思います。
当院アレルギー外来通院中のお子さまにつきましては、電話診療による処方の対応が可能です。
電話でお問い合わせのうえ、次回外来日程の調整や、内服薬・軟膏などの処方の調整を行ってください。
(その際お子さまの状況や残薬などを確認いたしますので、事前の確認をお願いいたします。)
詳しくは、こちらをご覧ください

気管支喘息で、吸入器(ネブライザー)を使用のご家族へ

ネブライザーは、液体の薬剤を霧状にして使用するタイプの吸入器です。小児では気管支喘息の治療として、吸入ステロイド薬(パルミコートなど)や気管支拡張薬(メプチン、ベネトリンなど)を自宅で吸入する際に使用している方が多くいます。
先日、日本小児アレルギー学会より「新型コロナウィルス感染症のパンデミックの際には、ネブライザーを使用することでウィルスがエアロゾル化して感染伝搬を拡大させる可能性があるため、他の吸入器具を用いることが望ましい。乳幼児で他の器具の使用が困難で、ネブライザーを使用する場合は、十分な換気が必要」との注意喚起が発表されました。【詳しくはこちらをご覧下さい。外部リンク:日本小児アレルギー学会】
新型コロナウィルス感染者の中には発熱や他の症状が乏しく、感染に気付きづらいケースもあるようですので、感染を拡大させる事を防ぐためにも、自宅においても対策が必要です。
自宅でネブライザーを使用しているお子さんについては、
(1)吸入器を変更する(例:スプレータイプの吸入薬を、専用の補助具を用いて使用)
(2)十分に換気をしながらネブライザーを使用し吸入を行う

ただし、(1)についてはかかりつけ医との調整が必要となりますので、現状では(2)となるケースも多いかと思います。ネブライザーを使用する際は、窓を開けるなど換気を行いながら使用するようにしてください。高齢者などのハイリスクの方々とは十分に距離をとりながら(別室などでも)の使用も良いかと考えます。

食物アレルギーのお子さんについて

緊急事態宣言をうけて、食物アレルギーのお子さん方が他のご家族とともに自宅で過ごされる時間が増えると思います。それにともない自宅での誤食のリスクが高まる可能性もあるので注意が必要です。(乳アレルギーのお子さんで、兄弟が廃棄した乳製品のカップを取り出して舐めたことで発症した事例もありました。)
『アナフィラキシー』のコラムでも触れましたが小さなお子さんはアレルギー症状をうまく伝えることができず、周囲が気づいた時にはぐったりしていた…というリスクもあります。アレルギー食材の取り扱いに注意しつつ、緊急時薬は常に手元に置くようにしましょう。

十分な予防策をとりつつ、皆様が無事にこの状況を乗り切れることを切に願っています。


参照
参照)小児アレルギー学会『COVID-19流行期における喘息発作に対するネブライザー使用時の注意喚起』
  • ※このコラムは、2020年4月時点のアレルギー診療に基づく内容です。
  • ※アレルギーは個人差の大きい疾患です。個々のお子様の症状や対応につきましては主治医とご相談ください。