小児アレルギーコラム “アレルギーのお子さんの沖縄旅行について”

2020/10/12小児科

沖縄市ちばなクリニックのアレルギー外来担当 佐藤です。
今回は、アレルギーのお子さんの沖縄旅行における注意点やポイントについてお話します。
旅行を検討されている患者さんご家族の他、受け入れ施設の方々のご参考になればと思います。
沖縄は全国でも有数のリゾート地で、例年多くの観光客が訪れます。
安全に旅行を楽しめるよう、いくつかポイントをお伝えします。

1.沖縄特有の食事事情
2.移動時の持参薬や食事について
3.台風事情
4.アクティビティについて
5.旅先の施設について
6.緊急時対応について

1.沖縄特有の食事事情

Pediatric Allergy Educator

ピーナツ:沖縄県内はピーナツ製品が豊富です。ジーマーミ豆腐(ピーナツの豆腐)や伝統菓子(クンペン:ピーナツ餡の菓子)の他、ラーメンの隠し味やバームクーヘンなどの菓子の一部にも含まれることがあるようです。ピーナツアレルギーがある場合は、事前に成分を確認するようにしてください(個別包装の菓子などは成分表示がされていない場合もありますので、成分が不明な場合は摂取を控えた方が安全かもしれません)。

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そば:『沖縄そば』には蕎麦(そば)粉は使用されていません。そのため蕎麦アレルギーのお子さんでも沖縄そばは摂取することができます(小麦粉が主成分のため小麦アレルギーのお子さんは摂取できません)。ただ最近は、県内でも蕎麦を提供するお店が少しずつ増えているため、その都度確認はしてください。

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乳:ポークランチョンミートやサイコロステーキの一部には乳を含む製品があります。牛乳アレルギーのお子さんでは、このような含有食品にも注意が必要です。

2.移動時の持参薬や食事について

処方されている薬剤は十分量を持参しましょう。アナフィラキシー対応の自己注射(エピペン®)を処方されている場合は必ず携帯してください。自己注射を機内に持ち込む場合は、事前に航空会社に確認してください。移動中に食べられるアレルギー対応の軽食を持参すると安心だと思います。
喘息の方は定期治療薬と発作時の治療薬を、アトピー性皮膚炎の方は、通常の軟膏に加えて、増悪時の軟膏や内服薬なども携帯してください。
定期通院の際に主治医に旅行日程を伝え、必要な薬剤の調整を行ってもらうと良いでしょう。
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3.台風事情

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沖縄の夏は台風シーズンです。大型台風の場合は数日間、飛行機や船が動かなくなることもあります。店舗や病院が閉鎖され、離島では食料や必要物資が不足することもあります。念のために処方薬は数日分多めに持参し、アレルギー対応のレトルトなどを数食分携帯すると慌てずにすむと思います(台風接近の際は、旅行を早めに切り上げる勇気も必要です)。

4.アクティビティについて

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沖縄は紫外線が年間を通して非常に強いので、思わぬ肌トラブルを招くことがあります。

アトピー性皮膚炎のお子さんでは、日焼けの他にも海やプールで遊んだ際に肌のかゆみが生じることもあります(日焼けや汗の他、塩分や塩素なども増悪要因となります)。外遊びの際はラッシュガードなどで紫外線から肌を保護し、肌にあうタイプの日焼け止めを使用して、こまめなシャワー浴と軟膏による肌ケアを十分に行いましょう。

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皮膚がデリケートなお子さんでは、虫刺され後に患部が大きく腫れる傾向があります。虫よけや虫刺され用の薬も携帯してください。

肌荒れしやすい場合、普段使用している石鹸やシャンプー・洗剤などを小分けにして持参すると安心かもしれません。那覇などの街中であればコンビニやスーパーが充実しているため現地調達も可能ですが、店舗の少ない地域では揃えるのが難しい場合もあります。

5.旅先の施設について

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最近はアレルギー対応の食事を提供している宿泊施設や飲食店が少しずつ増えているようです。希望の際は事前に確認し連絡を取るようにしてください。ビュッフェスタイルやバイキング方式の食事はアレルゲン混入のリスクがあるため注意が必要です。
離島や県北部に滞在される際は、宿泊施設や売店自体が少ない地域もありますので、アレルギー対応食の携帯は必須です(油断するとガソリンスタンドもなくなります!)。

6.緊急時対応について

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万が一アレルギー症状を発症した場合についてです。
一部地域では、救急病院が近くにない場合もあります。食物アレルギー症状や喘息症状を発症した際は、速やかに緊急時薬を使用し、アナフィラキシー出現時は救急要請してください。医療機関を受診する時は、旅行時の診断書や紹介状があるとベストですが、難しい場合は薬手帳や過去の症状の記録やメモ、検査結果のコピーなどを持参すると診療がスムーズになると思います。

参照:小児アレルギーコラム “災害時のアレルギー対応について”

7.おわりに

沖縄は人口におけるこどもの割合が全国一位です。飲食店や街中の様子をみても、親子連れにとても寛容な地域だなと思います。余裕を持った旅行プランを立て、十分な事前準備を行うことで、アレルギーのお子さんたちも安全に楽しめる最高の旅になることを願います。

新型コロナが落ち着きましたら、是非ゆっくりいらしてくださいね。

ちばなクリニック小児アレルギー外来では

医師、看護師、栄養士が連携し、治療・ケアの他、栄養摂取量の説明や代替え食の提案、その他様々な取り組みを行っています。

  • ・お子様の状況に応じた離乳食の進め方
  • ・湿疹・アトピー性皮膚炎の肌ケア
  • ・栄養摂取量の説明や代替え食の提案
  • ・院内など安全な環境での初回摂取や増量摂取の提案(※アレルギー症状のリスクが高いお子さん対象)

アレルギー外来受診のご希望やご相談のある方は当科外来にお問合せください。

当院の小児科アレルギー外来の詳細については以下のページをご覧ください。

ちばなクリニック小児アレルギー


  • ※このコラムは、2020年時点のアレルギー診療に基づく内容です。
  • ※食物アレルギーや湿疹・アトピー性皮膚炎は、個人差の大きい疾患です。個々のお子様の対応につきましては、主治医とよくご相談ください。
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